絞り込み部分一致廃止後のキーワードの考え方

2021年2月4日にGoogleよりキーワードのマッチタイプについて、絞り込み部分一致を廃止してフレーズ一致に統合すると発表がありました。

今でも絞り込み部分一致の使用を勧める情報発信も多く、実際のところ日本で運用されているアカウントは絞り込み部分一致の利用率が高いことも相まってか、この記事の執筆時点(2021年2月7日)では否定的なコメントが目に付きました。また、誤解も広がっているように見えます。なので、この変更がどのような内容なのか、そして絞り込み部分一致が廃止されたあとのキーワードはどう考えるべきなのかを解説します。

現在作成されている絞り込み部分一致のキーワードの扱いや、新しいフレーズ一致の定義などについてはGoogleからの説明ページ(https://support.google.com/google-ads/answer/10286719?hl=ja)に説明やQ&Aがありますので、細々とした具体的な内容は公式に任せ、この記事では誤解の解消と今後のキーワードの考え方について解説します。

なお、英語の原文はこちらにあります。日本語のページより背景などが詳しく説明されています

Google 広告で絞り込み部分一致が廃止されるのは2021年7月の予定

Googleの説明ページに以下のように記載されているので、2021年2月から変更が始まると誤解をされて焦っている方がいますが、日本で絞り込み部分一致が廃止されるのは2021年7月の予定です。

キーワードを簡素化し、目的の顧客層にリーチしやすくするため、2021 年 2 月よりフレーズ一致の動作に絞り込み部分一致(BMM)の動作が組み込まれます。

フレーズ一致と絞り込み部分一致の変更について - Google 広告 ヘルプ

実際、説明ページ内の「自分の言語に変更が適用される時期は?」の部分に記載があります。

英語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、イタリア語、オランダ語、ポルトガル語、ロシア語については、2021 年 2 月より順次、フレーズ一致および絞り込み部分一致の新しいマッチング動作が導入されます。

残りの言語については、2021 年 7 月に、新しいフレーズ一致の動作が有効になります。その間、これらの言語における「フレーズ一致」と「絞り込み部分一致」は従来どおりの定義で運用されます。

フレーズ一致と絞り込み部分一致の変更について - Google 広告 ヘルプ

まだ時間がありますから、落ち着いてどのような変更なのか、Googleの意図はなんなのかをしっかり理解して、落ち着いて対応しましょう。

Google 広告のキーワードは文字列を指定するものから、検索意図を指定するものに変わる

新しいキーワードのマッチタイプは、完全一致・フレーズ一致・部分一致の3種類になります。そして、完全一致についてもフレーズ一致についても、キーワードのテキストによらずに検索ユーザーの意図が同じであれば広告の表示対象に含める、類似パターンへの拡張がされます。つまり、従来の考え方でいうと、すべてのマッチタイプが「部分一致的」な動作をし、マッチタイプによる差はその拡張度合いの差になります。

実際に、Googleも新しいマッチタイプを以下のように説明しています。

●Exact match for precision
●Broad match for reach
●Phrase match and broad match modifier for a balance of both

Making it easier to reach the right customers on Search - Google Ads Help

要するに、精度を重視する場合は完全一致、リーチを重視する場合は部分一致、精度とリーチのバランスを狙うならフレーズ一致を使えと言っています。

2021年2月時点のGoogle 広告のキーワードのマッチタイプ

従来のキーワードは、どのような語句が、どのような並びで含まれるのかで広告の表示対象をコントロールするものでした。つまり、完全一致・フレーズ一致・絞り込み部分一致・部分一致のそれぞれの役割は以下のように理解されていました。

  • 完全一致:キーワードのテキストと完全に一致する検索語句に表示する(入力ミスなどは含む)
  • フレーズ一致:キーワードのテキストと完全に一致する並びを含む検索語句に表示する
  • 絞り込み部分一致:絞り込んだ語句を含んでいる検索語句に、並びは関係なく表示する
  • 部分一致:キーワードのテキストに関わらず検索語句が関連していれば表示する

「完全一致は類似パターンに拡張されるから、キーワードのテキストと一致しない検索語句にも表示するんじゃないの?」と思われた方。よく勉強されていますね。そのとおりです。2017年から完全一致に「類似パターン」が追加され、マッチタイプが完全一致でもキーワードのテキストと必ずしも一致しない検索語句で広告が表示されるようになっており、類似パターンの拡張度合いは日に日に広まっています。
※参考:https://adwords.googleblog.com/2017/03/close-variants-now-connects-more-people.html

なので、完全一致と部分一致は検索意図でマッチングするマッチタイプ、フレーズ一致と絞り込み部分一致は文字列でマッチングするマッチタイプで、完全一致と部分一致の差は拡張させる範囲の程度の違いと理解している方も多かったのではないでしょうか。

ところが、この理解も実は正確ではありません。

絞り込み部分一致とフレーズ一致についても2019年から類似パターンへの拡張がされていて、フレーズ一致でもキーワードのテキストとして設定したフレーズを含んでいなかったり、間にキーワードのテキスト以外の語句が入っても広告の表示対象になっていました。
※参考:https://support.google.com/google-ads/answer/9426627

なので、事実上、現時点においてもすべてのマッチタイプが部分一致的な動作をしていて、完全一致・フレーズ一致&絞り込み部分一致・部分一致はそれぞれ類似パターンを含める度合いの差しかなく、さらにフレーズ一致と絞り込み部分一致はほとんど差がなくなっています。

フレーズ一致と絞り込み部分一致の差があまりなくなっていますから、今回の変更は、「絞り込み部分一致がなくなる」というよりは、「絞り込み部分一致とフレーズ一致がダブってしまったのでまとめられる」と理解した方が正確です。

なおこのあたりの経緯は、英語の説明ページに以下のように説明されています。

Over the years, we’ve improved our understanding of intent to make it easier for you to reach your customers. For example, your keywords can now match to the meaning of a search, and broad match is now more effective at driving performance–especially when paired with Smart Bidding. With these improvements, we’ve seen that phrase match and broad match modifier often serve the same use cases, and that you can reach more of the right customers through a combination of the two.

Making it easier to reach the right customers on Search - Google Ads Help

つまり、現時点でも検索ユーザーの検索意図を意識してキーワードを考えて登録されている場合、はっきり言って、現在登録されている絞り込み部分一致のキーワードが新しいフレーズ一致にコンバートされてもほとんど影響がないんじゃないかと予想しています。

現在の絞り込み部分一致・フレーズ一致から新しいフレーズ一致になった場合の変化

現時点で作成されている絞り込み部分一致のキーワードと、フレーズ一致のキーワードが、新しいフレーズ一致にコンバートされた際に、実際の配信はどうなるのかを予想します。

現在の絞り込み部分一致のキーワードに起きる変化(すべての語句を絞り込んでいるパターン)

新しいフレーズ一致は、現在の絞り込み部分一致にかなり近い挙動をするので、リーチの範囲や広告の表示回数などにはあまり大きな変化は起きないと予想されます。むしろ、説明ページで紹介されている例のように語順が変わることで目的が変わってしまい、アプローチしたい対象ではなくなってしまう検索ユーザーには広告を表示しなくなりますので、より精度が高まっていると言えます。

例えば、尾道ラーメンの通販の広告をする場合、「尾道 ラーメン おすすめ」は広告を表示する対象ですが、「ラーメン 尾道 おすすめ」は尾道市でラーメンが食べられる場所を探している検索ですから通販の広告を表示する対象ではありません。いま、「+尾道 +ラーメン」をキーワードとして登録している場合、「ラーメン 尾道 おすすめ」も広告の表示対象に含めてしまいますが、新しいフレーズ一致にコンバートされると「ラーメン 尾道 おすすめ」では広告が表示されなくなる可能性があります。

この観点ではマイナスの要素はありません。

しかしながら、もし、いま登録している絞り込み部分一致の語順を、「どうせ絞り込み部分一致なら順番は関係ない」と意識せずに、本来は「尾道 ラーメン」の順であるべきところを「ラーメン 尾道」と登録してしまっている場合は語順の見直しを強く勧めます。実際にどのような挙動をするのかは新しいフレーズ一致になってみないと分かりませんが、場合によっては本来は広告を表示したい方の語順を含む検索語句に広告が表示されず、反対に本来は広告を表示したくない方の語順を含む検索語句に広告が表示される場合もありえます。

他の観点でいうと、キーワードの重複はかなりの確率で起きると予想されます。

例えば、絞り込み部分一致では絞り込んだ語句が必ず含まれていないと広告が表示されないと誤解をしていると、「+ランニング +シューズ」と「+ランニング +靴」などの同じ意味の言い換えパターンをすべて登録しているんじゃないでしょうか。この場合、リーチの範囲が重複したキーワードを複数登録している状態になります。検索語句が複数のキーワードに分散する可能性がありますし、特に個別クリック単価(拡張クリック単価を有効にしている場合を含む)で入札単価の調整をしている場合は、コントロールがしにくくなる恐れがあります。

現在の絞り込み部分一致のキーワードに起きる変化(絞り込んでいない語句を含むパターン)

絞り込んでいない語句を含んでいるパターン(例:「法律相談 +弁護士」など)の場合は、新しいフレーズ一致では「+法律相談 +弁護士」のように、すべての語句を絞り込んだ絞り込み部分一致に近い挙動になるため、リーチの範囲が狭まって表示回数が減少する可能性があります。絞り込んでいない方の語句を「絞り込んでいないから」とあまり深く考えずに登録している場合は見直しをお勧めします。

語順や重複に関する注意点はすべてを絞り込んでいるパターンと共通です。

現在のフレーズ一致のキーワードに起きる変化

新しいフレーズ一致は現在の絞り込み部分一致に近い挙動をしますので、リーチの範囲がかなり広がって表示回数が大きく増える可能性が極めて高いでしょう。日本では「絞り込み部分一致がなくなる」といった表現で広まっているので、絞り込み部分一致のキーワードに意識が向きがちですが、実際に注意が必要な変化が起きるのはフレーズ一致のキーワードです

フレーズ一致のキーワードの他に部分一致や絞り込み部分一致のキーワードがあって、広告グループとしてのリーチの範囲が変わらない場合は問題ありません。一方で、フレーズ一致だけもしくは完全一致とフレーズ一致のキーワードしか登録していない広告グループがある場合は、リーチが広がって広告が表示される検索語句が大きく変化する可能性がありますので、予めキーワードを見直しておくか、新しいフレーズ一致にコンバートされたあとは検索語句を細かくチェックすることをお勧めします。

まとめると、どのパターンでも現在登録しているキーワードの語順がアプローチしたい検索ユーザーの検索意図とあっているかどうかの確認コンバートされたあとに重複したキーワードにならないか(特に個別クリック単価を利用する場合)を予め確認しておくことをお勧めします。また、フレーズ一致のキーワードについてはリーチの範囲が大きく広がるので、広告グループで見たときのリーチが変わるのか変わらないのかを予め確認しましょう。

新しいフレーズ一致は逆の語順には表示しないのか

説明ページの例が過大に解釈されており「新しいフレーズ一致は語順が逆だと広告の表示対象にならない」と誤解をされている方がいますが、その理解は誤りです。新しいフレーズ一致に限らず、現在のGoogle 広告のキーワードは検索語句の字面を指定するためのものではなく、検索ユーザーの検索意図を指定するためのものです。語順が変わっても検索ユーザーの意図が変わらないのであれば広告の表示対象になります。これは、現在も行われている類似パターンへの拡張と同じです。

これからのGoogle 広告におけるキーワードの考え方

現在でも、軸のキーワード(運用代行、など)を書き出して、掛け合わせるキーワード(安い・格安・お得・オススメ・評判・クチコミ、など)を書き出して、表計算ソフト上で関数で機械的に組み合わせている人が多いんじゃないでしょうか。

はっきり言ってこれは、絞り込み部分一致とフレーズ一致も類似パターンへの拡張が積極的に行われるようになった2019年以降においては既にナンセンスなんですが、2021年7月以降はよりナンセンスです。

絞り込み部分一致の利用が主流で、絞り込んだ語句に対する拡張があまりされていなかった2019年以前では、あらゆる言い回しを書き出して掛け合わせることでターゲティングに漏れが起きにくかったので有効な方法でした。しかしながら、今後はキーワードのテキストに含める語句の字面そのものには大きな意味がないので、網羅する必要がなくなります。意味がないどころか不必要な時間を浪費する上、上記のようにキーワードの重複によるデメリットもありうるのでむしろ有害です。

Googleが「検索ユーザーの意図」だと思っている内容を理解する

今後、Google 広告におけるキーワードはよりいっそう、検索ユーザーの検索意図を指定する意味が強くなりキーワードに設定したテキストの表面的な字面は尊重されなくなってくると考えられます。なので、検索ユーザーの検索意図をよく考える必要があります。

ただし注意しなければならないのは、検索ユーザーの入力した検索語句からGoogleが検索ユーザーの意図を予測して、広告主が登録したキーワードからGoogleが広告主のアプローチしたいと思っている検索意図を予想してマッチングします。つまり、検索ユーザーの意図を想像するだけでは不十分で、Googleがそれをどう判断しているのかを知らなければなりません。

具体的には、広告をしたい商品・サービスに興味を持ちそうな検索ユーザーの検索意図を考えるといいでしょう。そして、その検索意図を持つ検索ユーザーが検索しそうな検索語句を想像して、実際にGoogle 検索で検索してみましょう特に自然検索の検索結果を見ましょう。そこに表示される内容が、Googleが検索語句から予想している検索ユーザーの検索意図を満たす内容です。

表計算ソフト上でいくら語句を眺めていたところで検索ユーザーの意図もGoogleが想像している検索ユーザーの意図も分かりません。答えはGoogle 検索の検索結果にあります

改めてGoogle 広告の仕組みを正しく理解する

もはやキーワードで広告を「出し分ける」ことは(今でもできてないんですけれども)できなくなります。どのような検索に対してどんな広告を表示させるのかは、キーワードではなく広告のライティングでコントロールするものであること(参考:Google・Yahoo!の検索広告のオークションの解説)や、広告のライティングを改善するために「品質スコア」をどう参考にしたらいいのか(参考:「品質」と「品質スコア」を改めて解説する)だったり、キーワードは闇雲に網羅するように登録するものではなく役割を意識して登録すべきであること(参考:検索広告の「キーワード」の役割)など、現在のGoogle 広告の仕組みの正しい理解がより一層求められます。

2021年7月以降のキーワードの作り方

まず、アプローチしたい検索意図を持っているユーザーが検索しそうなドンピシャな検索語句(要は他のニーズが入らない範囲でなるべく検索ボリュームの大きな検索語句)を考えます。そして、その検索語句でGoogle 検索をしてみてGoogleが理解している検索意図を確認します。問題がなければキーワードのテキストはその語句で決まりです。あれもこれも、いろんな言い回しや表現を考える必要はありません。

あとはアプローチしたいリーチの範囲を、予算やコンバージョン単価・ROASなどの条件に照らして判断して、マッチタイプをフレーズ一致にするのか部分一致にするのか判断してあげればいいでしょう。これでリーチの範囲の設定は終了です。特別に配信結果を確認したい検索語句があるのなら、その検索語句は完全一致で登録してあげればいいでしょう。

検索語句を網羅するためにキーワードを細かく作る必要はまったくありません。数千キーワード・数万キーワードを表計算ソフトで作っている時間はまったく無駄です。アプローチするべき検索ユーザーの検索意図を考えること、その検索意図を持っている検索ユーザーが検索しそうな語句を考えること、そして実際にGoogle 検索で表示される検索結果がその検索意図とあっているかどうかを確認すること、そして何よりもその検索意図を持っている検索ユーザーに興味を持ってもらえる広告のライティングを考えることに時間を使いましょう。

この記事に対する質問や、「こんな情報発信を聞いたことがあるんですが本当ですか?」というような質問があれば、acssemble 新田真隆の質問箱からご質問ください。

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