検索広告のキーワードに関するよくある誤解

先日「検索広告の「キーワード」の役割」という記事を公開して、Google 広告・Yahoo!広告の検索広告でキーワードがどの様に利用されるのかキーワードの果たしている役割はどのようなものなのかを解説しましたが、今回はその続きでキーワードについて良く言われている誤解について解説します。

お読み頂いている皆様も、紹介する例がなぜ間違っているのか、本当はどうなのか、考えながら読んでみてください。

「コンバージョンしたクエリを完全一致で登録するとコンバージョンは増える」は誤解

自動入札を利用しているか、個別クリック単価(拡張クリック単価を含む)を利用しているかで状況が変わってくるので、それぞれの場合に分けて解説します。場合によっては確かにコンバージョンが増えることもありますが、コンバージョンを獲得した検索語句を完全一致のキーワードとして登録することだけでコンバージョンが増えるわけではないので、「コンバージョンしたクエリを完全一致で登録するとコンバージョンは増える」という言い方は誤りです。

自動入札を利用している場合:コンバージョンは増えない

まず、自動入札を利用している場合について説明します。

コンバージョンを獲得した検索語句ということは、その検索語句で広告が表示されているわけですから、その検索語句はすでに登録されているキーワードのリーチの範囲に入っています。その中に完全一致のキーワードを追加したとしても、表示回数が増えることもなく、その検索語句でのインプレッションシェアが高まるわけでもないので、コンバージョンの件数が増えることはありません。

個別クリック単価を利用している場合:コンバージョンが増えることもある

次に、個別クリック単価を利用している場合について考えます。

同じく、そもそもコンバージョンを獲得しているということは、その検索語句はすでに登録されているキーワードのリーチの範囲に入っています。なので、その検索語句を完全一致で登録することでリーチの範囲が広がることはありません。

ただし、その検索語句が登録されているキーワードから遠かったりして、その検索語句のインプレッションシェアが低い場合があります。その検索語句を完全一致のキーワードとして登録してしっかり入札してあげることで、その検索語句のインプレッションシェアが高まって表示回数が増え、連動してコンバージョンの件数が増えることもありえます。しなしながらこれは、もともとのキーワードと入札単価ではしっかり広告を表示させるべき検索語句を取りこぼしていたという状態なので、マイナスがゼロに戻っただけと評価するのが適当です。

また、広告のコンバージョンは、あくまで広告をクリックしてから一定の期間以内にコンバージョン アクションが達成されたときに計上されますから、コンバージョンが計上された検索語句が必ずしも決め手になったものとは限りません。一度コンバージョンを獲得したけれども、二度とコンバージョンを獲得しない検索語句も存在します。そのような検索語句に対してあえてしっかり入札して広告を表示させることはかえって費用対効果を悪化させます。なので、機械的にコンバージョンを獲得した検索語句を完全一致のキーワードとして登録することはおすすめしません。

コンバージョンが計上された検索語句を完全一致のキーワードとして登録する意味

では、コンバージョンが計上された検索語句を完全一致のキーワードとして登録することに全く意味がないのかと言うと、そうとも言い切れません。個別クリック単価を利用している場合で、その検索語句に対しての入札単価の調整を個別に行いたい場合や、その検索語句の個別の配信結果・品質スコアを確認したい場合は完全一致で登録する意味があります。この点は「検索広告の「キーワード」の役割」で詳しく解説しています。

つまりどうすべきかと言うと、「コンバージョンを獲得した検索語句だから」と機械的に思考停止でやってしまうのではなく、その検索語句を完全一致で登録すべきかどうかを、キーワードの役割に照らして考えて対応しましょう。

「完全一致のキーワードを増やせば成果が向上する」は誤解

「完全一致のキーワードは品質が高いので、完全一致のキーワードを増やして完全一致のキーワードでのクリックを増やすことで、質の高いクリックを増やせるから成果向上につながる」という理屈のようですが、これは誤りです。

まず、品質を向上させることで検索広告に良い変化が起きることは事実です。具体的には、同じ検索語句に対してはクリック単価が低減されることで費用対効果が良くなります。ただし、これはあくまで「品質」であって「品質スコア」ではありません。「品質」はオークションが発生するたびに「広告」について評価されるもので、「品質スコア」は管理画面上で確認できる「キーワード」の指標です。「品質スコア」が高くても「品質」も高いとは限りません。この点については「「品質」と「品質スコア」を改めて解説する」で詳しく解説しています。

次に、完全一致のキーワードは品質が高いということはありません。よっぽどおかしなキーワードでない限り完全一致のキーワードのCPAは他のマッチタイプのキーワードよりも低く抑えられていることがほとんどです。しかしこれは品質が高いからではなく、余計な検索語句で広告を表示しないのでCVRが高いことが理由です。この点については「Google 広告の「品質」に関するよくある誤解」で解説しています。

同じ検索語句に対して、同じ広告を表示して、同じリンク先に誘導している限り、Googleの品質評価は同じです。その検索語句がオークションに掛けられるきっかけとなったキーワードが部分一致なのか完全一致なのかで結果が変わらないことは容易に想像できるでしょう。

この観点についても個別クリック単価を利用している場合は例外的に、完全一致のキーワードを増やすことで表示させるべき検索語句にしっかり入札し、余計な検索語句での広告表示を省くことができて結果的に費用対効果が向上することもありますが、これもマイナスがゼロになっているだけです。

「キーワードを増やすとインプが増える」は誤解

まず、表示回数を「インプ」とはわたしは略しませんが、この情報発信ではよく「インプ」という表現が使われています。表示回数の意味です。キーワードの追加によって表示回数が増えるかどうかは、その時点で登録されているキーワードと追加するキーワードによります。

表示回数が増える場合:リーチの範囲が広がる場合

その時点で登録されているキーワードが絞り込み部分一致、フレーズ一致、完全一致などの、リーチの範囲を限定するものだけで、すでに登録されているキーワードでは拾えない検索語句をカバーできるキーワードを追加する場合、キーワードの追加によってリーチが広がりますので表示回数が増える可能性があります。

例えば以下のキーワードがすでに登録されていたとします。
・+リスティング広告 +代理店(部分一致)
・+リスティング広告 +代行(部分一致)

このとき、
・+google広告 +代理店(部分一致)
・+yahoo広告 +代理店(部分一致)
を追加することでリーチが広がるので表示回数が増える可能性があります。

表示回数が増えない場合:リーチの範囲が広がらない場合

一方で、すでに登録されているキーワードが、
・リスティング広告 代理店(部分一致)
だった場合、
・google広告 代理店(部分一致)
・yahoo広告 代理店(部分一致)
を追加してもリーチの範囲は変わらないので表示回数は増えません。

特に、以下のようなケースはやってしまいがちなので注意が必要です。
・+リスティング広告 代理店(部分一致)
・+google広告 代理店(部分一致)
・+yahoo広告 代理店(部分一致)
を登録している状態で、
・+リスティング広告 代理店 クチコミ(部分一致)
・+リスティング広告 代理店 口コミ(部分一致)
・+リスティング広告 代理店 くちこみ(部分一致)
・+リスティング広告 代理店 評判(部分一致)
・︙
のようなキーワードを追加してもリーチの範囲は変わりません。これは、継続しているアカウントに対する施策としても、最初に作成するアカウント構成でも両方ともよくやってしまっている例を見ます。作業量が膨大になりますので時間がかかりますが、成果的な意味はまったくなく時間の無駄なのでやめましょう。

例外:個別クリック単価を利用している場合

例外的に個別クリック単価(拡張クリック単価も同様)を利用している場合は、リーチの範囲が変わらないキーワードを追加することによって表示回数が増える場合があります。

もとのキーワードでは、遠くてインプレッションシェアが低かった検索語句があり、新しいキーワードがその検索語句と近い場合に、インプレッションシェアが高まることによって表示回数が増える場合もあります。ただし、これはキーワードを増やして表示回数が増えたと言うよりは、元のキーワードの登録が不適切だったがために失っていた表示回数があったと評価するべきです。

正しい理解があれば惑わされない

今回はよく聞くキーワードについての誤解について解説しましたけれども、Google 広告・Yahoo!広告におけるキーワードの役割・品質評価・オークションの進行を理解していれば、今回紹介したような誤解をせずに済むことはわかったのではないでしょうか。

「コンバージョンに至った検索語句を完全一致のキーワードとして登録する」などは、なにをすればいいのかが明確で読んだらすぐに試せますから重宝されがちなので、発信側も発信したがる傾向にあります。ですが解説したとおり、状況次第で効果がなかったり、むしろ逆効果になってしまったり、無駄な手間と時間が掛かってしまっただけで「やった感」以外に得られるものがなかったりします。

「急がば回れ」という言葉があるように、安易なテクニック論に走るのではなく、場面場面で何をすべきなのかを判断できるように、基礎基本に忠実に、原理原則を理解したほうが結果的に近道です。

検索広告については、
・キーワードの役割 ー 参考:検索広告の「キーワード」の役割
・品質評価 ー 参考:「品質」と「品質スコア」を改めて解説する
・オークションの進行 ー 参考:Google・Yahoo!の検索広告のオークションの解説
あたりをしっかり理解しておけば場面場面で何をするべきかを考えられるようになると思います。また、情報発信を目にしたときに、その情報は真に受けて大丈夫なものか、それとも当てはまる条件が限られるから注意が必要なのか、はたまたマイナスをゼロにしてるだけのことで全く役に立たないのか、判断できるようになると思います。

この記事に対する質問や、「こんな情報発信を聞いたことがあるんですが本当ですか?」というような質問があれば、acssemble 新田真隆の質問箱からご質問ください。

https://acssemble.com/diagnosis.html

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