検索広告の「キーワード」の役割

Google・Yahoo!の検索広告の根幹である「キーワード」ですが、いざ「キーワードってなんですか?」と問うと、はっきり答えられない人がいます。また、キーワードに関する情報発信は公式・非公式問わず沢山ありますが、キーワードの役割をしっかり意識しないと何を信じていいのかわからずに迷走してしまいがちです。「Google 広告の「品質」に関するよくある誤解」や「細分化の究極系「SKAGs」について考える」で紹介した誤りの例も、キーワードの役割に対する理解の不足が大きな原因のひとつです。そこで今回は、改めて検索広告の基礎である「キーワード」について解説します。

読者の皆様も頭の中で「キーワード」の説明を考えてからこの先を読んでみてください。

一般名詞の「キーワード」とは違うもの

検索広告の「キーワード」は、キーワードのテキスト」と「マッチタイプ」がセットになって「キーワードです。たまに検索広告の運用者でも、「キーワードのテキスト」だけの意味で「キーワード」と言ってしまっている人がいますが、間違いです。テクニカルには、テキストが同じでマッチタイプが異なるだけのものでも、別のキーワードになります。

細分化の究極系「SKAGs」について考える」で紹介した過剰な細分化も、「キーワードのテキスト毎に広告グループを細分化する」という本来の「SKAGs」の目的を、「キーワード毎に広告グループを細分化する」と誤解したためにやってしまうものです。

特に、広告運用者ではない関係者と会話をするときは注意が必要です。「検索エンジンの検索窓に入力する言葉」の意味で「キーワード」と言う人が少なくありません。というか、業界関係者以外はほぼこの認識です。相手の言葉をよく聞いて、検索広告の「キーワード」の意味で言っているのか、それとも「検索語句」(Yahoo!広告では「検索クエリー」)の意味で言っているのか、どちらなのかを理解しながら話をする必要がありますし。あなたが話すときも、相手に誤解をさせないように言葉を選ぶ必要があります。

検索広告でキーワードが使われる場面

Google 広告・Yahoo!広告の検索広告でキーワードが使われる場面は、大きく2つあります。

キーワードが使われる場面:オークション

キーワードはまずオークションで利用されます。

Google 広告・Yahoo!広告のオークションの進行については「Google・Yahoo!の検索広告のオークションの解説」で詳しく解説していますので、ここでは概要だけ、広告主側からの視点で記載します。

  1. ユーザーが検索した語句が、キーワードのカバー範囲に入っているか判定される
  2. 検索語句をカバー範囲に含めているキーワードが入っている広告グループの広告が検出される
  3. 検索語句と広告文とリンク先の関係で品質の評価がされる
  4. 計算された品質と、キーワードの入札単価から広告ランクが計算される
  5. アカウント内で一番広告ランクが高い広告が表示される

オークションにおいてキーワードは、オークションに参加できるかどうかの判定広告ランクの決定のふたつの目的で利用されています。なので、適切にキーワードの役割を理解しないと、リーチの範囲が思い通りにならなかったり、入札単価をコントロールできなくなってしまいます。

キーワードが使われる場面:品質評価の推測・配信結果の確認

もうひとつは、管理画面上で品質評価の推測と配信結果を確認するために使います。

まず、品質評価の推測は、キーワードの「品質スコア」から推測できますが、注意が必要です。詳しくは「「品質」と「品質スコア」を改めて解説する」で解説していますが、キーワードのテキストの設定が適切でなければ「品質スコア」が「品質」を代表しない状態になるので注意が必要です。

次に、配信結果の確認のために利用できます。広告が表示されるきっかけとなったキーワードに配信結果が計上されますが、マッチタイプや、同じ広告グループで類似するキーワードを使用している場合(Google 広告のヘルプが開きます)、異なる広告グループでの類似したキーワードが存在する場合(Google 広告のヘルプが開きます)の挙動を理解していないと配信結果の誤解に繋がります。

検索広告の「キーワード」の役割

つまり、まとめるとキーワードの役割は、

  • リーチの範囲の指定
  • 入札単価の指定
  • 品質スコア・配信結果の確認

の3点です。なお、目標コンバージョン単価やコンバージョン数の最大化などのスマート自動入札、クリック数の最大化や目標インプレッションシェアなどの自動入札を利用する場合は、「入札単価の指定」を除く2点になります。

以下、それぞれの役割を掘り下げて解説します。

リーチの範囲の指定

まずひとつ目の役割は、広告が表示される可能性がある検索の範囲を指定することです。

検索広告では、検索語句と広告とリンク先の関係が非常に大切です。そして、検索語句をカバー範囲に入れているキーワードが登録されている広告グループの広告が検出される仕組みですから、どんな検索語句を、どの広告グループのキーワードの範囲に収め、その広告グループにどのような広告を作成し、リンク先をどこにするのか、これが広告の成否を決めると言っても過言ではありません。同じ検索語句に対して複数の広告グループの広告が検出されている状態だと、本来は他の広告グループの広告の方が関連性が高かったはずなのに、入札単価の高低で広告ランクが逆転してしまい、関連性を誤解してしまうなどのデメリットも考えられます。

また、リーチを広く取りすぎてしまっても関連性が低い検索での広告表示が増えて費用対効果が悪化するばっかりだったり、逆にリーチの範囲を狭めすぎてしまって本来は表示すべき検索で広告を表示できなくなったりします。

また、表示回数を増やしたいときに、「広告が表示されるキーワードを増やせば表示回数も増える」と思ってたくさんキーワードを考えて登録してみたものの、すでに登録されているキーワードのカバーしている範囲内にキーワードを増やしただけで、リーチの範囲が広がらないなど、徒労に終わることもあります。

入札単価の指定

次に、これは個別クリック単価を利用する場合のみですが、キーワードは個別に入札単価を設定・調整する役割を持っています。オークションにおいて最後に広告ランクを決定する際に使用される入札単価は、その広告がオークションに参加するきっかけになったキーワードのものが利用されます。

同じ検索語句に対して複数のキーワードがカバーしている状態だと、思ったとおりに入札単価をコントロールできない可能性があります。同じ検索語句に、キーワードAは200円で入札していて、キーワードBは150円で入札しているとき(複雑になるのでキーワードA・キーワードBで検出される広告は同じだとします)、この検索語句の配信結果はキーワードAに計上されます。で、この検索語句については200円ではなく100円で入札したいなと判断をしたとき、この検索語句が計上されたキーワードAの入札単価を200円から100円に変更したとします。そうすると、この検索語句にはキーワードBの150円で入札されることになり、100円では入札されません。また、配信結果が計上されるのはキーワードAではなくキーワードBになります。

個別クリック単価を利用する場合は機械学習による入札や広告のセレクションのサポートを期待できずに、設定で調整しなければなりません。せっかくSKAGs風にしても仕様を理解していなければ手間を掛けているけれども報われない、悲しい結果になってしまいます。SKAGsについては、「細分化の究極系「SKAGs」について考える」で解説しています。

品質スコア・配信結果の確認

最後に、品質スコア・配信結果の確認のために利用されます。

品質スコアは、キーワードのテキストと一致する検索語句での品質評価を10段階で予想してくれているものです。なので、キーワードのテキストが実際の検索語句と遠い場合は、品質スコアは実際の品質を代表しなかったり、本当は品質評価が低い状態なのに高いと誤解してしまう原因になってしまいます。

また、配信結果については、インプレッションシェアに関する項目など、検索語句レポートでは確認ができない指標もありますので、個別に把握したいものはキーワードとして登録する必要があります。

キーワードは役割を意識して登録せよ

役割を意識してキーワードを作成すると、アカウントの構造はあえて「シンプル化させよう」「なるべくまとめよう」としなくても、自ずとシンプルなものになりますし。キーワードの数も不必要に多くなることはありません。

極端なことを言うと、関連するビッグワードを部分一致でひとつだけ登録すれば、それでリーチの範囲としてはすでに最大の状態になっています。その状態で、部分一致や絞り込み部分一致などの広いキーワードを追加しても、個別に入札単価を調整できませんし、多くの検索語句を拾ってしまうので個別の配信結果や品質スコアを確認はできませんので、意味のない作業です。

自動入札に頼らない、いわゆる手動運用でも、キーワードの役割を理解すればキーワードを何千個も登録する必要はなく、案外シンプルな扱いやすい構造になります。その方が余計な手間がかかりませんし思い通りにコントロールできるようになります。この機会にお手元のアカウントのキーワードについて、どの役割を果たしているキーワードなのか整理してみるといいと思います。

この記事に対する質問や、「こんな情報発信を聞いたことがあるんですが本当ですか?」というような質問があれば、acssemble 新田真隆の質問箱からご質問ください。

https://acssemble.com/diagnosis.html

Google 広告のアカウント無料診断を実施しています。リンク先のページから事前打ち合わせにお申し込みください。感じられている課題や悩みなどをお伺いした上で、Google 広告のアカウントを診て状況や改善案をご報告致します。生の疑問・悩みを聞き、実際に運用されているアカウントを診ることに価値を感じていますので、売り込みなどはしませんから安心してご依頼ください。