Google 広告の「品質」に関するよくある誤解

以前、「「品質」と「品質スコア」を改めて解説する」という記事で、Google 広告の広告の「品質」と、管理画面上で確認できるキーワードの「品質スコア(Yahoo!広告では「品質インデックス」)」について解説しました。今回はその続きとして、品質に関するよくある誤解について解説します。

おさらい:「品質」と「品質スコア」

Google 広告やYahoo!広告のインプレッションシェアやクリック単価は「広告ランク」によって左右され、この「広告ランク」は「広告の品質」に影響を受けます。そして、「広告の品質」は広告オークションが発生するたびに、ユーザーが検索した語句・表示される広告の文言・リンク先の内容などの様々な要素が加味されて計算されます。そのため、「この広告・キーワードの品質はいくつです」と決まった値は存在せず、管理画面などで確認することもできません。

我々からは知ることができない「広告の品質」ですが、管理画面上に表示される「キーワードの品質スコア」から予想することができます。入学試験に例えると、「広告の品質」が試験本番で獲得できた点数で、「キーワードの品質スコア」が事前の模擬試験での偏差値です。模擬試験での偏差値が高ければ入試本番でも高得点が獲得できて合格できる可能性が高まります。ただし、入試では使わない科目の偏差値を高めたり、実際の入試の内容が模擬試験とは全然違ったりすれば模擬試験の偏差値が高くても合格はできないこともあります。

つまり、管理画面上で確認できる「キーワードの品質スコア」は、あくまで成果(この記事では「インプレッションシェアが高まった結果のコンバージョン数の増加や、クリック単価が下がった結果のコンバージョン単価の低減」の意味で使います)と相関の関係にある指標であって、因果の関係にはなく、状況によっては相関もしないことを念頭に考える必要があります。

広告にキーワードを含めれば品質(品質スコア)が上がり成果が良くなる

「品質」、「品質スコア」のどちらでも言われています。確かに、広告にキーワードを含めることで、「品質」も「品質スコア」も高まる可能性はあります。しかし、「品質スコア」が高まっても「品質」が高まらなかったり、「品質スコア」の向上が成果につながるかどうかは別問題だったりし、間違いとも正解とも言い切れないので厄介です。ですから、正しい理解が求められます。

結論を言うと、よっぽどの場合を除いて、広告にキーワードを含めた程度で品質(または品質スコア)が向上したり、成果が良くなったりすることはありません。

ではそのよっぽどの場合とはどういう場合かと言うと、「分譲マンション 横浜」などのキーワードに対して「港町を見下ろす贅沢」のように、俗に言うマンションポエムを見出しに設定しているような場合です。これは極端だとしても、「スプレッド国内最低水準の○○FX」みたいなウリと社名だけの広告を、「資産運用」などの、いわゆる拡げるキーワードにまで設定してしまっているような場合は、キーワードを広告に含むように作り直すだけで「品質」が高まる可能性はあります。ただしこれは、マイナスをゼロに戻すような作業であり、わたし個人としては「改善」とは言いたくありません。

ところで、検索広告は「このような商品・サービスが欲しい」と思っている検索ユーザーに対して、「それならうちのはどうですか?」と提案するものです。なので「英会話 横浜」などのキーワードに対しては、変に「キーワードを広告に含めなきゃ」などと意識しなくても、自然と「続けられる英会話教室/横浜駅徒歩2分」といったような具体的なライティングをするでしょう(してください)。

むしろ、変に「キーワードを広告に含めなきゃ」と意識をしすぎることで「横浜の英会話なら/○○英会話」のように何も伝わらないメッセージにしてしまったり、アルファベットの名前や漢字の名前について、「acssemble」と検索されたときと「アクセンブル」と検索されたとき、さらには変換しなくて「あくせんぶる」と検索してきたときに、それぞれアルファベット・カタカナ・ひらがなで広告を出し分けるために、アルファベット・カタカナ・ひらがなで広告グループを分けるなどという本質を見失った設定をしてしまったりします。

さらに、レスポンシブ検索広告では、アルファベット・カタカナ・ひらがなのそれぞれの表記のアセットを検索語句に合わせて出し分けて欲しいと思ってそれぞれ追加すると、運用者の意図は「見出し1を表記で出し分けて、見出し2は訴求内容を含めて欲しい」だったとしても、実際は見出し1にアルファベット表記・見出し2にカタカナ表記など、名前しか言っていない広告が表示されます。

ですから、そもそもの検索広告的な広告作りができていない場合を除いて、「キーワードを広告に含めよう」と思わないほうがいいでしょう。安直な方法を求めずに、「宣伝している商品・サービスはどんなニーズの人に役立つのか」、「そのニーズを持っている人はどんな言葉で検索するのか」、「その言葉で検索したときに表示される検索結果はどんな内容なのか」、「その中でどういう表現をしたらクリックしてもらえそうなのか」と、本寸法でひとつひとつ考えるほうが結果的に近道です。

完全一致のキーワードは品質(品質スコア)が高い

こちらも、「品質」も「品質スコア」のどちらの記載も見受けられます。が、いずれの場合も誤りです。中には、「完全一致のキーワードは品質が高く、完全一致のキーワードを増やせば増やすほど、完全一致のキーワードでのクリックの割合が増え、クリック全体の品質が高まるので成果改善に繋がります」と飛躍した情報発信もありますから注意してください。

まず、「品質スコア」は、「「品質」と「品質スコア」を改めて解説する」でも解説している通り、キーワードのテキストと完全に一致する語句で検索されたときの品質を10段階の整数で表現したもの、です。なので、キーワードのテキストが同じであれば、マッチタイプが部分一致であっても完全一致であっても「品質スコア」は同じになります。ただし、品質スコアの更新はリアルタイムではなく、すべてのキーワードについて一斉に更新されるわけでもないので、更新タイミングの問題でマッチタイプ違いのキーワードの「品質スコア」に差が出ることはあります。

次に、「品質」については、「Google・Yahoo!の検索広告のオークションの解説」で解説している通り、「品質」は広告オークションの中で計算されますが、「品質」の計算にキーワードは使われません。なので、「品質」とキーワードのマッチタイプは無関係です。

ところで、「成果」を「コンバージョン単価が安い」という意味で用いた場合、よっぽどおかしなキーワードでなければ完全一致のキーワードはコンバージョン単価が安いのは事実です。

ただしこれは、検索ユーザーのニーズにドンピシャな語句をキーワードにしている場合、マッチタイプを完全一致にすることで余計な検索語句に広がらないからコンバージョン率が高まることが多いからであって、的はずれなキーワードでもマッチタイプを部分一致から完全一致に変えたらコンバージョン単価が安くなるというわけではありません。

冒頭でも言及しましたが、マッチタイプは完全一致のほうが優れているわけではありません。キーワードについては、どんな検索に対して広告を表示したいのか、どんな検索に対してどのくらいで入札したいのか、どんな検索の配信結果や品質スコアを個別で確認したいのか、などのキーワード本来の役割に合わせて考えましょう。

インプレッションボリュームが大きいと品質が高い

極端なことを言いますが、「インプレッションボリューム」という言葉を使う人の発言は、信用ならない可能性が高いという前提で聞くことをおすすめします。かなりの割合で間違っています。

これは、機械学習の促進と混同してしまっている誤解です。たしかに、広告のセレクション(広告グループ内のどの広告を表示するのが良いか)に関しては、広告グループが過剰に細分化されていると、各広告の試行回数が減ることで悪影響となる場合があります。なので、広告グループのインプレッションボリュームを不必要に減少させるような過剰な細分化は避けるべきではありますが、これは品質とは関係がありません。

インプレッションボリュームは大きければ大きいほうがいいと誤解して、すべてのキーワードとすべての広告をひとつの広告グループに入れた方がいいと、とんでもない誤解をしてしまっている人も見受けられます。

インプレッションボリュームは主に広告グループの区切り方を考える際に意識されることが多いものですが、品質や機械学習のことは考えずに、本来の広告グループの分け方に従って、過剰に集約してしまうこともなく、過剰に細分化してしまうこともなくグルーピングすることをおすすめします。

品質スコアが低いキーワードは広告グループを分けたほうがいい

こちらは、正しい場合もありますが、常に正しいわけではないので注意が必要です。

ただ、それが「広告グループ内に品質が低いキーワードがあると、広告グループの品質が下がって、全体の成果に悪影響だから」という理由でしたら、それは誤りです。

広告グループの品質やキャンペーンの品質、アカウントの品質というものはありません。これは、品質スコアが高いキーワードの割合が多いアカウント・キャンペーン・広告グループはそれだけ手入れがされているので成果も良い傾向にあるという相関の話であって、因果関係にはありません。

実際のところ、「品質スコア」を参考にしながらキーワードのグルーピング(どんなキーワードを同じ広告グループにまとめて、どのキーワードは別の広告グループにするかという取り組みの意味)をする場面はあります。ただし、品質が低いキーワードを別の広告グループに移す前にすべきことがありますから、安易に実行すべきではありません。また、グルーピングを見直すだけでは不十分ですし、品質スコアが低い理由によってはグルーピングの見直しでは解消されません。

まず、品質スコアが低い理由が「ランディング ページの利便性」で、ランディング ページに理由がある場合は、グルーピングをし直しても意味がありませんので、ランディング ページを見直しましょう。

次に、「推定クリック率」もしくは「関連性」、または両方に問題がある場合は、まずは広告の見直しをする必要があります。広告の見直しをした結果、あちらを立てればこちらが立たず、そのまた逆もしかりという状態になるのであれば、それらのキーワードは同じ広告では品質を高められないという意味ですので、広告グループを分けて、新しい広告グループではそのキーワードに合わせた広告を再検討する必要があります。広告グループだけ分けて、広告は複製したのでは意味がありません。

品質スコアが低いキーワードがあるとアカウント全体に悪影響がある

このような言われ方をすることもありますが、ひとつ前の例と同じです。あくまで、品質スコアが高いキーワードの割合が多いアカウントは、それだけ手入れがされているので成果も良い傾向にあるという相関の話です。

また、すこし話はそれますが、品質スコアについてはある程度あきらめなければならない場合があります。例えば、acssembleが広告運用者を募集しようと思って、自社の求人広告を検索広告で配信したとします。キーワードは「広告代理店 求人」とかになるでしょう。このキーワードの品質スコアはどうやっても低いままになる可能性があります。というのもの、「広告代理店 求人」と検索している人はほとんどの場合、広告代理店の求人を色々見て比較したい(求人サイトをみたい)のであって、acssembleのような小さな組織単体の求人情報を見たいわけではないので。

このような場合、仮に品質スコアが低かったとしても、Google 広告・Yahoo!広告の検索広告で募集をしたいのであれば、その中でどうにか頑張って配信を継続するほかありません。表面的な品質スコアの数値で判断するのではなく、そのキーワードで広告を配信したいのかどうか、という観点で考えることをおすすめします。

再入稿をすると品質がリセットされる

これは事実ではありますが、これを理由にアカウントに対する変更を躊躇するべきものではありません。むしろ、品質のリセットを理由に躊躇する程度の施策・変更でしたら、そもそもその施策・変更自体を何のためにするのかを考え直したほうがいいでしょう。

たしかに、再入稿をすると数日間は広告のパターンの配信比率が変わったりするなど、配信がブレることはありますが、それも数日でもとに戻ります。というのも、非公式ながらGoogleから「Google 広告の学習はキーワードとか広告単位で行われているのではなく、ドメインと検索語句と広告文というレベルで行っている」と回答を得ています。

また、他の代理店や広告主様自身の運用の診断をした後にわたしが担当することになった、いわゆるリプレイス案件のスタートを数々対応してきた経験からも、品質のリセットは気にするほどのことではないという印象を受けています。

何かをしようとするときに品質のリセットが気になるのであれば、何を企図して実行するものなのか、そしてその効果がどの程度のものなのかの評価ができていないのが理由でしょうから、まずはそこを考えましょう。

すべては正しい理解から

いずれの誤解も、仕様・仕組みを誤解していたり、他のものと混同してしまっていたりすることが原因であるように感じています。まずは公式の情報をしっかり読んで理解して、安易な方法論に飛びつかずに、検索広告ってなんのためにするんだっけ?どんな言葉で検索している人に見てもらいたいんだっけ?と立ち返って考えてみると、惑わされないのではないかと思います。